第83話 和室などないはずの家で 阿修羅 | ||
心霊体験ではないけれど、不思議な体験があります。 私は三歳の時に引越しをしたんです。 引っ越した家は、かなり洋風で、和室がないんです。 三歳児にして畳大好きだった私は新しい家に和室がなく、かなりがっかりしていました。 その家は、建築家がわざわざ設計しただけあって、かなり変わっている家でした。 全体的に白く四角い家でドアと廊下がほとんどなく、壁は白く塗ったベニヤ板でした。 子供部屋もあり、私はおもにそこで遊びました。 ある時、部屋の壁を触っていたらベニヤ板がわずかに うごいたんです。 あれ?と思いもう少し動かすと子供が入れるぐらいの隙間が開いたんです。 当然、私は入りました。 どういうわけかそこには短い廊下(2mぐらい)があり、和室がありました。 ちゃんとふすまもあり6畳ぐらいの立派な部屋でした。 そこの窓から外をみると野原と小川がありましたが、誰もいませんでした。 私はどうしてもそこへいきたくなり、子供部屋(ちなみに三階)にもどり、外に出ました。 さっきの野原を探しましたが、外から見るとどこにもなく、いつも和室から見ているだけでした。 いつ見ても野原には人気がなく、静かでした。 私は子供部屋で遊ばなくなり、和室で遊ぶようになりました。 けれど、その部屋の事は誰にも話しませんでした。 小1になって、一度だけ窓から外へでました。 足場を探しながら下におり、野原で遊びました。 野原から家をみると、私の家はなく、日本家屋(二階建て)がかわりにあり、 一階には一つも窓がありませんでした。 私は怖くなり何とかして和室に帰りました。 それからしばらくして私には友達ができ、だんだんと和室へ行かなくなりました。 最近になってこの部屋の事を思い出しましたが、子供部屋の壁はどこも動きません。 |